こんにちわ、奈良を拠点にウェブサイト制作事業とウェブマーケティング事業を行っておりますインヴォルブ代表の吉村です。
私の仕事はいわゆるウェブディレクターと呼ばれる職種で、わかりやすく言えばウェブ戦略を必要とするお客様の意思を汲み取り、それを実現するための技術を持つウェブデザイナーやエンジニアに的確で円滑な指示・依頼を出しながらお客様の望むウェブサイトを実際に形にしていくことが使命です。
ウェブディレクターという仕事それ自体が多くの人々の思いを一手に受け止めながらお客様が今一番必要としているウェブサイトを実現するという大変ながらもやりがいのある仕事ですので語りだせばキリがないのですが、今回お話したいのは我々ウェブディレクターとお客様がどのような関係であるべきかについてです。
ウェブディレクターの使命
まず何より厄介なのは、本当に私たちのようなウェブディレクターを必要としているお客様というのは、ウェブの知識を持っていないことの方が一般的だという事実です。
これはよくよく考えてみれば当たり前の話で、もしウェブの知識を少なからず持っている人であればウェブマーケティングを活用する必要性を感じてすでに手探りで何らかの行動を起こしているはずで、わざわざウェブ制作の看板を掲げる私達に教えを乞うようなこともないはずです。
我々インヴォルブのようなウェブサイト制作などの言葉で検索して出て来る企業を頼るのはウェブの世界に精通していない、言い方は悪いかもしれませんがいわゆる「素人」であることが普通なのです。
ウェブディレクターはウェブの持つ力を信じてサイト制作を取り仕切るお仕事です。対してそんなウェブディレクターを必要とするお客様というのはウェブが大事ということをなんとなく耳にして不安にすることはあっても実際のところは半信半疑ということも少なくなく……。このギャップを如何にして埋めるのかというのもお客様とウェブマーケティングをつなぐ、ウェブディレクターの仕事なのかもしれないと私は思うのです。
ウェブ営業の話
ここからは少し生々しい話にはなってしまうのですが、お客様とウェブマーケティングを如何にしてつなぐかというところでいうと最もわかりやすいところでどのような契約を結ぶかという話題がございます。
サイト制作の必要性自体に半信半疑なお客様に対してどのような契約内容を提示するか、というのもウェブ企業の腕の見せ所の一つでもあり、あるいはその契約内容がそのまま企業としてのスタンスを示すことにもなってしまうでしょう。
ウェブのリース契約の話
例えば、かつて私が勤めていたウェブ会社ではホームページ作成を相談された際には60ヶ月のリース契約を新規のお客様に提案するのが常でした。初期費用はほとんどかかりませんが月額費用が5万円、それが60ヶ月続くとなれば結局は300万円もの大きなお買い物です。しかも契約自体はリースなのでリース会社を通して契約期間の縛りは厳密に適用されます。途中でやっぱりやめたいとなると契約違反となってしまいます。
このようなリース契約自体は昔から存在する契約形態ではあるのですが、では実際にこのような60ヶ月リース契約でサイトの作成とその後の管理を任せるとどうなるのか。以下のような点でクライアントが不満を感じトラブルに発展するというケースが多々発生してしまうのです。
・更新作業が遅い
・リニューアルまでの期間が遠い
・新しい技術に対応してくれない
中には、ウェブ会社が下請けを頼んでいた制作会社が何らかの理由で動かなくなり一切の更新作業ができない状態にも関わらずリース契約だけは残り支払いが発生し続ける、なんて目も当てられない話を耳にすることもしばしば……。
ウェブ業界でのトラブル
そもそも目まぐるしくトレンドが入れ替わり1年前の最新技術がすっかり時代遅れになってしまうことが常のウェブ業界において、60ヶ月契約というものが土台無理があると私個人は感じてしまうのですが、一方でこのような契約トラブルが横行する理由というのもわかってしまうのが歯がゆいところです。
契約期間の話に限らず、わかりやすい歯切れの良い言葉を信じてお仕事を頼んだのにまったく臨んだ結果が得られない、なんていうあるあるのウェブ屋トラブル全般に言えることなのかもしれません。
つまりは、それだけ「素人」であるお客様とウェブディレクターが信頼関係を築いて中長期的なお取引を続けるのは困難であるということです。
もちろんこれは微妙なお客様のためになっているか怪しい契約を結ぼうとすることを正当化したいという話ではありません。
ウェブの知識を持っているとは決して言い難いお客様に嘘なくわかりやすい説明ができて、信頼を勝ち取り、お互い納得ずくで気持ちよくお仕事をお任せ頂き、気持ちよくお仕事を進めることができる環境を作れるウェブディレクターはきっとほんの一握りの存在なのだろうということです。
ちょっとめんどくさい人
自分がその一握りのウェブディレクターなんですよ!と言うだけなら誰でもできます(それをお客様に信じて頂けるかはさておき……)。
お客様との信頼関係を作るのに必要なのは、お客様が本当に望んでいるものは何かを探る地道なヒアリング、それにわかりやすい嘘や誇張を含んだ耳触りの良い説明をするのではなくウェブの本当のところをしっかりとお話したうえで理解を得ようとする粘り強い対話。そして何よりそんな曖昧で何を信じればいいかわからないウェブの世界でクライアントのマインドをしっかりと共有しながら道を示すことができる提案力。
つまりは、いわゆる「ちょっとめんどくさい」方がウェブディレクターとしては誠実で頼りになるのではないかと私は考えていますので、そんなウェブディレクターを探してたんですなんてお客様とすれ違うことのないように、こんな「ちょっとめんどくさい」ブログを書いたりもしているのです。
インヴォルブはわかりやすい約束を結ぼうとするのではなく、お客様に今本当に必要なウェブ戦略を共に考え二人三脚でウェブマーケティングを推進する、そんなウェブ企業であり続けたいと考えています。